今回は請求書照合(ERS)における転記日付の拡張についてご紹介していきたいと思います。
この記事を読んでわかること
ERSとは?
ERSは「Evaluated Receipt Settlement」の略で、日本語で「入庫/請求自動決済」と言います。
この機能は、入庫処理後に実施する買掛処理の仕組みの1つです。
SAP標準機能において、買掛処理は以下の2通りがあります。
①請求書入力(MIRO)
②入庫/請求自動決済(MRRL)
※()内はトランザクションコード
上記の2つの仕組みうち、②がERSを指します。
ERSは、仕入先から請求書を受領せず、購買者側で支払額を提示する場合に有効です。
購買者側の発注(金額情報)と入庫(数量情報)を基に決済(請求書照合)を実施することになります。
ちなみに①請求書入力は、仕入先からの請求書を基に請求書伝票を登録する機能です。
ERSの転記日付の拡張が必要な理由
結論から言うと、入出庫伝票の転記日付と請求書伝票の転記日付が異なることにより、支払日に影響があるためです。
SAP標準機能では、ERSの処理を実施すると処理日付が転記日付となります。
そのため「入出庫伝票の転記日付」と「請求書伝票の転記日付」が異なる場合があり、これにより実際の支払日に影響があるためです。
※請求書照合はJOBで処理することが基本的に多いと思います。
具体的にどのような影響があるかと言いますと、月末を例に考えたいと思います。
まず、仕入先との契約を「月末締め、翌月末払い」とします。
そのうえで、担当者が11/1に「10/31に納品された物品の入庫処理」をしたとします。
この場合、入庫処理時の転記日付は「10/31」となります。(担当者が手入力)
この状態でERSを実施した場合、ERSの実行日(11/1)が請求書伝票の転記日付になります。
これにより、「11/1」を支払基準日として支払日が決定され、仕入先へ支払処理が行われます。
このようになった場合、本来は11月末に支払をしなければいけないのですが、12月支払の対象になってしまいます。
上記のような問題点の解決策が、ERS実行時の転記日付を「処理日付」から「入出庫伝票の転記日付」を設定する(=拡張実装)ということになります。
私が今まで携わってきたプロジェクトでは、必ずと言ってよいほど請求書照合(ERS)の転記日付の拡張を実装しておりました。
拡張実装方法
実際の拡張実装方法についてご紹介していきたいと思います。
[ptimeline color=”green” marker=”square”]これ以降は、実際にコーディングしていくことになるかと思いますのでその部分は割愛させていただきます。
私の経験だと、Include内でのコーディングに関しては、構文チェックでエラーが出るが、有効化できるなど他の拡張やアドオン機能を作成する際のコーディングとは違う部分があり、戸惑うこともありますが構文チェックでのエラーは気にしなくて大丈夫でした。
まとめ
今回はERSの拡張実装に関する内容でした。
この拡張は、ほとんどのプロジェクトで対応している内容だと思いますので、知っていて損はないと思います!
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